目を鍛えるビジョントレーニングとは
目を鍛える方法でビジョントレーニングがあります。
このビジョントレーニングはまだ日本では馴染みがありませんが
海外は当たり前のように取り入れられています。
ビジョントレーニングとは
ビジョントレーニングとは、目でものを捉える力や目で見たものを脳で処理し、体を使って動かす機能を高めるトレーニングのことになります。
学校で黒板を写すのが遅い、教科書や本の文章内の同じ行を何度も読んでしまう、ボディバランスが悪い、姿勢が悪いことなどの問題は目からきている場合があります。
そこでビジョントレーニングを取り入れることで上記のような悩みを軽減できる可能性があります。
ここでは私たちがものを見る仕組みから、具体的なビジョントレーニングなどを解説します。
ビジョントレーニングの効果
ビジョントレーニングとは、目で見る力を高めるための訓練の方法です。
生活の中の問題やスポーツのスキルアップを目の機能からのアプローチによって解決しようという目的のものです。
私たちは普段目でものを見て生活をしていますが、「見る」ということは、視力以外に様々な機能を使用します。
例えば、自由自在に目を素早く動かしたり、目から取り込んだ情報を正しく頭で処理したり、またそれらの情報に合わせて体の動きを調節したりするなどです。
これらの正しくものを見るために必要な機能を高めるのがビジョントレーニングです。
ビジョントレーニングはアメリカにおいて歴史が深いトレーニング法ですが、現在は日本でも導入されつつあります。
トレーニングは学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもたちの諸問題の改善・克服からプロスポーツ選手のパフォーマンス向上に至るまで、多くの人々の能力向上に用いられています。
ビジョントレーニングには様々な効果が期待できますが、身近な例だと板書や本読みのスピードがあがったり、整ったきれいな文字を書くことができるようになったりする結果があります。
目を鍛える中の一つ、動体視力(スポーツビジョン)7つの必要なポイント
動体視力を鍛えるには7つのポイントを強化することで、動体視力を強化できます。
<動体視力(スポーツビジョン)に7つの必要なポイント>
1.DVA動体視力
横方向の動きを識別することのできるポイント
2つに分けられる動体視力のうち、もう1つがDVA動体視力です。
KVA動体視力が前後の動きを識別する能力に対し、DVA動体視力は左右水平方向に動くものを識別する能力となります。
サッカーやバスケットボールなど、ボールが素早くいろいろな方向へ移動するような競技に欠かせません。
2.KVA動体視力
前後方向の動きを識別することのできるポイント
止まっているものを見る能力に対し、動いているものを見る能力を動体視力と呼びます。
動体視力は2つの能力に分けられ、その1つがKVA動体視力です。
KVA動体視力は「近い・遠い」といったように、前後に動いているものを識別する能力。
投げたボールが自分の方に向かってくる野球や、ソフトボールには欠かせない能力です。
3.コントラスト感度
見るモノに対する、明暗の識別をおこなうポイント
明るさの識別をするのがコントラスト感度です。
野球でボールがドームの屋根など同系色に重なった場合にしっかりボールを識別したり、ゴルフでコースの曲がりや傾斜などをわずかな色の違いから正確に読んだりするときに必要な能力です。
4.眼球運動
眼球をすばやく正確に動かすことのできるポイント
眼を素早く動かす能力が眼球運動です。
絶え間なく動くボールや、相手選手などを眼で追う際に必要な能力となります。
眼球運動がスムーズな方が、周囲を速く確認することが可能です。
5.深視力
対象物と自分との距離感を正確に認識することのできるポイント
奥行や距離感を正確に見極める能力が深視力です。
たとえば、味方の選手がどれくらい遠くにいるのかを正確に認識できなければ、パスを正確に通せません。
広いフィールドでプレーするサッカーやアメフトなどに欠かせない能力です。
この深視力は左右の眼で認知するため、左右の眼の静止視力に差がある人はこの能力が低いとされています。
6.瞬間視
瞬間的に多くの情報を認識することのできるポイント
一瞬で見たものを詳細に記憶できる人がいますが、この能力を瞬間視と呼びます。サッカーやバスケットボールでは、一瞬見ただけで相手の位置・仲間の位置などの情報をすべて把握でき、次の動作に移るための素早い判断が可能となるでしょう。
7.眼と体の協応動作
眼で見たものに対して体が素早く反応できるポイント
眼で見た情報をもとにカラダを動かす連動性が、眼と手の協応動作です。
いくら情報を素早く正確に収集したとしても、動作に移せなければ意味がありません。
見たものを瞬時に反応し、動作につなげるための能力です。
ビジョントレーニングで脳機能が向上する
動体視力(スポーツビジョン)を鍛えることで、動くものを素早く認識する能力が向上すれば、次は目で得た情報を脳が判断し、指令を出すことによって体を動かすことができます。
そのため、動くものを素早く認識できるということは、脳が判断し、指令を出すスピードが速くなることになりますので、結果的に運動性能・パフォーマンスが上がることにつながります。
ビジョントレーニングで集中力アップで学習能力も向上する
動体視力(スポーツビジョン)を鍛えることで、ものを見る力が向上しますので教科書やノートを目で追う動作が改善します。
目の機能が良くなることで集中力が上がり、教科書やノートから得る情報を素早く判断できるようになりますので、結果的に学習能力の向上が期待できます。
ビジョントレーニングは一般的な視力とは異なります。
遠くを見るといった一般的な視力とビジョントレーニングは動体視力(スポーツビジョン)を鍛えるトレーニングとは異なりますので注意が必要になります。
ビジョンと視力の違い
ここでご説明する視力とビジョンの違いについてですが
視力は、一般的に健康診断や学校や免許で必要とする視力検査で測る1.0や0.1と言われています。
いわゆる、遠くを見る力のことです。
ビジョンとは遠くだけでなく、見る力の一連をさします
入力(眼球運動)→情報処理(視空間認知)→出力(目と体のチームワーク)
私たちは、運動や学習、生活の場面などあらゆる場所で目を使っていますが、ビジョンは大きく分けて「眼球運動」、「視空間認知」、「目と体のチームワーク」という3つの構成要素があります。
このビジョンが一つでもうまく連動しないと
以下のような困りごとが起きます。
・板書をノートにとることが苦手
・写生など見たままの状態で絵を描くのが苦手
・本を読むとき文字や行を読み飛ばしてしまう
・定規のメモリがうまく読めない
・漢字がなかなか覚えられない
・算数の図形の問題が苦手
実はこれだけでなく、様々なことで不都合が起きます。
見る力、いわゆる視機能は生きる上ではもっとも重要な機能
その重要な機能を、小さなお子さまのうちに育てる必要性があります。
ビジョンを知ろう
眼球運動
眼球運動には、さらに3つの種類があります。
◇「追従性眼球運動」…見ているものの動きに合わせて滑らかに、動いているものと同じ速さで眼球を動かすことです。
【例】
・本に書かれた文字を目で追う
・動いているものを目で追う
・ひとつのものに焦点を絞って見つめ続けたりする
◇「跳躍性眼球運動」…一点から別の一点へ視線をすばやくジャンプさせる眼球運動です。この眼球運動は、多くのものの中から必要な情報を早く、正確に見つけるために必要なはたらきです。
【例】
・黒板とノートを交互に見る
・人ごみの中から探している人を見つける
・本を読む際、次の行に移る
◇「両目」のチームワーク…私たちは両目を使うことにより物の距離感や立体感をつかんでいます。その時、対象物に焦点を合わせるために、ものとの距離に合わせて、右目と左目の視線を変化させています。
【例】
・近くのものを見るときには両目を真ん中に寄せる
・遠くのものを見るときには両目を離す
これら3つの眼球運動が正しく機能することにより、情報を目から取り入れる「入力」という第1ステップが完了します。
視空間認知
第1ステップで「入力」された視覚情報は脳へ伝わり、「情報処理」という第2ステップへと引き継がれます。この情報処理のことを視空間認知と言います。
視空間認知は、目から入った情報を脳で把握する能力です。空間の一部ではなく、全体像を把握するはたらきがあります。ただの点や線だった情報が、一つの形として具体的にイメージすることができるのは視空間認知のはたらきのおかげです。
・見たい対象と背景を区別する
・形や色を弁別する
・位置や色・形の不揃いにかかわりなく、「同じ」ものだと認識する
・空間的な位置を把握する
目と体のチームワーク
発達の専門用語では「目と手の協応」といいます。第1ステップで情報を目で見て、第2ステップで脳の中で認知された情報をもとに、私たちは体を動かします。これは、「入力」「情報処理」の次のステップの「出力」にあたります。
「目と体のチームワーク」とは、視覚のはたらきと体の動きを連動させることです。例えば「ボールで遊ぶ」ことを例にあげて考えてみましょう。
1.転がってくるボールを目でとらえて、目で追う
2.ボールが到達する位置とタイミングを脳が把握する
3.目で追いながら体を動かして、手を伸ばしてキャッチする
このように、私たちの体は視覚の情報をもとに動いています。