
自閉症のお子さまはコミニケーションが取るのが苦手です。
お友達と遊んだり、団体行動があまり得意ではなく、一人で自分の殻に閉じこもる傾向にあります。
では、なぜ団体行動に馴染めないのか?
どのように自閉症(ASD)を改善していけば良いのか
改善方法で自閉症のお子さまはどうなっていくのかについて解説していきたいと思います。
自閉症(ASD)だと、なぜ周囲とコミニケーションがとれないのか?
実は、私は自閉症という診断名には意味を持っていないと考えております。
自閉症の正式名称は、ASD(自閉スペクトラム症)と呼びます。
これは2014年に改定されたDSM–5の分類によります。
しかし発達障害のDSM -5などによる分類は、統計的な意味あいが強く、臨床的にはあまり意味がありません。
と言うのも、自閉スペクトラム症には、ほとんどのケースでADHD(注意欠陥多動症)の傾向が認められていて、それぞれが独立した病気とは言えないからです。
多くの問題は、病気の分類ではなく、お子さまの脳の中でどのような反応が起きているのか?なぜそのような行動をとっていくのか?の方が大切です。
実際に、その仕組みと原因を理解して、その症状を改善していくことが大事になるのです。
自閉症はコミュニケーション機能の未発達です
自閉スペクトラム症のお子さんは、周囲の人が話しかけても返事もせず、独り言をいいながら、自分勝手な行動をとっています。
それはあたかも自閉症のお子さんが、周囲の人を拒絶して、自分の殻に閉じこもっているようにも見えます。
しかし自閉症のお子さんは、周囲のヒトからの働きかけを拒絶している訳ではないのです。
自閉症のお子さんは、周囲からの働きかけを、正しく理解して反応するための、脳の機能が未成熟なのです。
ですから自閉症のお子さんは、周囲の人が話しかけても、それが自分に対するアプローチだと理解できず、正しく反応することができないのです。
どうして自閉症のお子さんは、周囲の人からの働きかけに対して、正しく反応できないのでしょうか?
その主な原因としては、
① 感覚統合の未発達 と
② 身体図式の未発達
が原因として考えられます。
この
① 感覚統合の未発達
と
② 身体図式の未発達
とは、いったいどういうものなのでしょうか?
この①と②を理解していくことで、お子さまの改善していくと希望が持てるはずでしょう。
事実、これらの問題を解決することで自閉症の多くのお子さまは改善しているのです。
ですのでこの2つの問題について、親は少し学ぶ必要があります。
なぜならば、病院や療育施設の人達の療育方法は一昔前の改善方法を行っており
また、これらの改善方法は家庭で行う必要があるからです。
なぜならば、病院の診察は長くても1時間以内、療育施設も多数のお子さまを見ています。
長時間、一緒にいるのは親御様だからこそ親御様が改善方法を行っていかなければ、大きな改善はノゼめないからです。
感覚統合の未発達とは!
私たちの感覚には、5感と呼ばれる、視覚や聴覚、味覚や嗅覚があります。
じつは脳の発達において、最も大事なのは、5感の中の「触覚」なのです。
つまり皮膚の感覚センサーによって感じる、ものが体に触れている感覚、あるいは自分がものに触れている感覚ですね。
この皮膚の触覚には、① 原始系触覚と ② 識別系触覚の2種類があります。
この2つの触覚をしっかり、まずは理解してください。
①原始系触覚とは?
原始系では私たちが生物として本能的な感じ方をします。
その為、感じた瞬間にその刺激が敵か味方かを判断して行動に移します。
例えば髪を切られることがとても嫌いなお子さんがいるとします。
このお子さんは髪を触られた感覚を”敵”と瞬時に感じて身を守る為の行動をとります。
それが私たちとっては癇癪であったり他害・自傷という形であらわれるのです!
これを
・本能的な感じ方
・触ったものが「エサ」か「敵」かを感じて、取り込もうとするか・身を守るか(逃げるか)を瞬時に決める!
この原始系は成長の中で少しずつ見られなくなります
触覚の感じ方に違いがあると原始系の役割が残ってしまうこともあるのです。
自閉症や未発達のお子さまはこの原始系触覚が残ってしまっているお子さまが多いのです。
② 識別系触覚とは?
では、2つめの触覚の識別系触覚とは
触ったものの形や大きさ・感触などを調べて判断する感じ方です。
例えば、私たちがポケットに手を入れた際に何も見なくても鍵や必要な物を取り出すことが出来ますよね?これは識別系がしっかりと発達している証拠です!
同じシチュエーションでも何が入っているか分からない箱(バラエティ番組でよくありますよね?)に手を入れた時は触った瞬間に「ぎゃあ!」と手を引っ込めますよね?
これは原始系が働いている瞬間です。
識別系触覚とは
・認知的な感じ方
・触ったものへ注意を向けて、大きさ・形・素材などを判断する!
識別系が育つことで、原始系の働きにブレーキをかけてくれる触覚になるのです。
自閉症スペクトラム症のお子さまは識別系触覚が未発達
自閉症のお子さまはママが手を繋いだり抱きしめると振り払って逃げてしまうことがあります。
これは
スキンシップを嫌がっているのではなく
原始系触覚に支配された「逃避」行動」をとっているのです
自閉症のお子さんが、ママにさえ触れられるのを嫌がるのは、
この原始系触覚による『触覚防衛反応』が原因です。
ママから愛情を渇望しているにも関わらずママから抱きしめられると反射的に天敵による補足からの逃避行動をとってしまう
聴覚過敏や、味覚過敏も原始系触覚による『触覚防衛反応』が原因です。
爪切りや、歯磨きなどを嫌うのも、『触覚防衛反応』による触覚過敏が原因ですね。
また『触覚防衛反応』が強く現れている場合、人混みの中で、感覚が過敏になってしまい、ひどい場合には、パニックになってしまう場合もあります。
気に入らないことがあると、すぐに相手をぶってしまうのも、原始系触覚による本能的な攻撃行動ですね。
このような原始系触覚による『触覚防衛反応』を抑制してくれるのが、より高度な触覚反応である「識別系触覚」の発達です。
『識別系触覚』とは、より高度な大脳皮質による触覚のコントロールです。
赤ちゃんは、ある程度大人になると、手探りでいろいろな物をいじって観察します。
これによって『識別系触覚』が発達します。
つまり識別系触覚とは、触覚によって対象物を観察して、それがなんであるかを識別する感覚機能です。
そしてこの「識別系触覚」が発達することで、原始系触覚による本能的な反応を抑制することができます。
また「識別系触覚」が働くことで、ママが愛情を持って自分に触れ、自分もそれに応えてママに触れることで、人としての愛情を育てることができるようになるのです。
これらの一連の感覚機能の発達を、感覚統合の発達と呼ぶのです。
身体図式の未発達とは?
『身体図式』とは、いったいなんのことでしょうか?
初めて聞く人もいれば、なんとなく文字でわかる人もいらっしゃると思います。
この身体図式とはどんな図式なのでしょうか?
世間一般的な身体イメージであれば、「手が長い」とか「太っている」とか、「丸顔だ」とかの客観的なイメージになりますが、『身体図式』とは、もう少し機能的で観念的な感覚なのです。
たとえば、お子さまが学校で筆箱から鉛筆を出そうとするときに机から筆箱を取ろうとします。
手を伸ばすだけで、筆箱に手が届くかどうかが、見ただけでわかります。
または、学校の黒板に書かれた文字を消す際に上の文字を消せるか見上げただけで、そこに手が届くかわかります。
そのままでは手が届かなくとも、ジャンプしたら手が届くかどうかも、だいたい予測がつきますね。
これが『身体図式』です。
そしてこの『身体図式』によって、私たちは自分の身体や手足が、どんなふうになっていて、どんなふうに働いているのかを理解するのです。
つまり『身体図式』がないと、私たちは自分自身の体がどうなっていて、どんなふうに動くかが分からなくなります。
そうなると自分自身が、どんな気持ちで行動しているのかが分からなくなってしまいます。
私たちは、自分自身の行動によって、自分が急いでいるのか、怒っているのか、悲しんでいるのかを理解します。
また私たちは、自分の『身体図式』をもとにして、相手の行動を観察します。
相手の手足の動きを、自分の身体図式に照らし合わせて観察することで、相手が楽しんでいるのか、悲しんでいるのか、怒っているのかが分かるのです。
ですから『身体図式』が未発達だと、その子は自分の感情がどうなっているかが分からず、相手の感情も理解できなくなってしまいます。
自閉症のお子さんは。この身体図式の未発達があり、そのために相手の行動や言葉遣い、表情などから相手の意図を汲むことができないのです。
感覚の未発達の原因は?
発達障害によって自閉スペクトラム症になるお子さんは、ほとんどの場合、手足の筋肉が硬くこわばっています。
その原因は不明ですが、生まれつき筋肉が硬くこわばっていることで、筋肉の中にある「感覚センサー」が上手く働いていないようなのです。
そのために
① 感覚統合
や
② 身体図式の発達
がうまくいっていません。
多くの場合、自閉症のお子さんが、感覚の未発達から自閉になる原因は、この手足や背骨の周りの筋肉の、生まれつきのこわばりが大きな原因となっています。
発達障害によるASD(自閉スペクトラム症)を治すには、この筋肉のこわばりを治し、筋肉内の感覚センサーの働きを良くすることが不可欠なのです。
その刺激を、意識的に入れなければ電気信号は回路をつくろことができません。
しかし、現在の療育方法は正しく手順を踏まれていないことが現状です。
例えば、この触覚について赤ちゃんが産まれて育まれる感覚の中では1番になります。
しかし、目や耳のトレーニングから行ってしまうとどうなるか?
実は感覚の中で、目は最後にできる感覚になります。
触覚がしっかり統合できていないのに、目や耳の統合をしても
触覚が統合できていないので、この感覚が邪魔をして
中々育みにくくなります。
これと同じで、脳の育む順番もあり
脳幹・大脳辺縁系・大脳新皮質と下から上に育み
右脳から左脳
後頭葉から前頭葉と育む必要があります。
これは、赤ちゃんの成長過程でできていく順番ですが
この順番がぐちゃぐちゃだとどうでしょうか?
今回は、触覚についてのお話をさせていただきましたが、自閉症に限らず
発達障害のお子さまは、まずは原始反射の統合を取り組んでください。
原始反射は脳の脳幹になります。
赤ちゃんの時になくてはならない反射ですが、
3歳まで残っていて良い反射ではありません。
原始反射統合療法を学びたい方はこちらから
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