かける言葉によってお子さまの脳の育ちが変わる!

発達の大事な期にいる0・1・2歳児。

会話ができず、話すにもまだ難しい時期ですが、対話の刺激で、

お子さまの脳はどんどん育っています。

この期間に受けた言葉の質や量が、「将来まで左右するらしい」

という研究もあるほどで、長時間、子どもとともにいる大人のかかわりは、責任重大と言われております。

では、どんな言葉を使い、やりとりをお子さまとしたらよいでしょうか?

 

言葉の前に確認すべき3つのこと

お子さまの脳を育てる言葉には、それを支える前提条件があります。
この条件がなければ、お子さまのかかわりが成り立ちません。
その前提について一緒に考えてみましょう。

1.主体的な遊び

主体的な遊びを妨げる無用な言葉かけはいりません。

2.興味に沿った環境設定

興味がある環境があれば、保育者の言葉が「いつも」なくても大丈夫。

3.三項関係

時間的・物的環境があれば、学びの多い三項関係で対話できます。

 

この3つの前提条件がなければ、子どもの脳を育てる言葉のかかわりは難しくなります。

 

子供をとりまく3大環境

主体的な遊び、時間的な環境を保障する

保育施設には、ひとつのクラスに複数の子どもがいます。

0~2歳児の保育では、個別のかかわりが基本になります。

このときもし、「時間で切って全員を動かす一斉保育」が中心だったらどうでしょう? 

保育者は「次は○○するよ」と、指示を出すのに忙しくて、一人ひとりにかかわる時間が取れなくなってしまうと思います。

でも、子どもが個々に好きな遊びができる、子ども主体の保育であれば、必要に応じて保育者はひとり(もしくは数名)のそばに行くことができます。

ここから、個々への言葉のかかわりが始まります。

興味に沿った物理的な環境設定を

たとえば、空間にブロックしかないような環境では、子どもは手持ちぶさたになって、保育者のまわりに集まってきます。

こうなると、全員にかかわることに忙しくなってしまいます。
でも、興味に沿った多様なものがある環境なら、子どもはそれを手に取って遊べます。

たとえば、森の中での保育を想像してください。

子どもが保育者のところに集まっていることはありませんよね。

まわりにもっと興味が持てる環境があるからです。

自然物や玩具とのかかわりも「対話」です。

子どもがものと対話をしているときは、静かに見守りましょう。

三項関係を意識する人的な環境

保育者が子どもにかかわるとき必要なのは「三項関係」です。

三項関係とは、物的環境(物・自然・人)を真ん中にした、子どもと保育者の人的関係性のこと。

子どもと大人の「二項関係」で見つめ合うことを重視するのは、新生児のころです。

「環境を通した保育を行う」人的環境として、保育者は、三項関係を念頭に子どもと興味の対象について対話することを意識してほしいと思います。

「興味のあること」からしか人間の脳は、学べないようにできているんですよ。

 

 

子供の脳を育てる4つの言葉かけ

前述した3つの項目を前提として、実際の言葉のかかわりで心がけておきたいことがあります。
4つの基本事項とは

 

1.ポジティブな言葉かけ

0~2歳児は、まだこの世に生まれたばかり。

「~をしてはだめでしょ」と注意されても、一体、何を求められているのか想像できません。

そういう否定の表現より、「~しようね」と、すべきことをポジティブに、具体的に伝えてください。

そのほうが何をしたらいいかがはっきりわかって、学びにつながります。

また、「まったくもう!」「いい加減にして!」など、自分のネガティブな感情を吐き出さないよう、意識してコントロールしていきましょう。

ネガティブな言葉は、子どもの脳を育てないことが研究でもわかっているんですよ。 「言葉のかかわりはポジティブに具体的に」。

これがひとつ目の基本です。

してはいけない言葉かけ:否定語・禁止語では、子どもはどうしたらいいかがわからないばかりか、脳の育ちにもマイナスです。

どんどんするべき言葉かけ:ぜひいつも、「〜しよう」という、ポジティブで具体的なかかわりを心がけて!

2.自己決定できる話しかけ

保育の目的は、「子どもが自立し、その子の人生の主人公となって生きるための援助」です。
その援助に必要なのは、子どもを自分の思いで動かす言葉ではありません。

子どもが自分で決めて行動できるよう促す言葉です。

たとえば、「ご飯だからもう片づけて」ではなく、

「そろそろご飯だけど、どうする?」

というような問いかけですね。

このとき、まだ遊びたいようなら、「まだ遊びたいんだね」と、その気持ちを一度受けとめます。

そのうえで「じゃあ、終わったらおいでね」と、自分で終わりの時間を決められるようにします。

こういう子どもを主体とした保育では、子どもを急がせたり待たせたりする必要がほとんどなくなります。

そうすると、食事中であれば「さあ、どっちが早く食べ終わるかな?」というような言葉かけではなく、「ブロッコリーだね。どんな味?」など、子どもの気づきにつながるような会話ができるようになるんですよ。

してはいけない言葉かけ:時間で一斉に動かすと、子どもが自己決定する機会を奪ってしまいます。

どんどんするべき言葉かけ:一人ひとりに声をかけて、その子の自己決定を尊重します。まだ話せない子であっても、一方的に話さず、相手の気持ちをくみ取りながら、対話するような形で。

3.子どもに合わせた応答的かかわり

保育指針、こども園要領の0~2歳児の部分には、何度も「応答的なかかわり」という表現が出てきます。応答的なかかわりというのは、

・子どもの関心のあることに対して
・子どもの横に並んで(三項関係)
・子どもがこちらに注意を向けたときに対話する

ことです。
ですから、子どもが集中して遊んでいるのに、上から「すごーい!」などと声をかけてしまうのは、応答的対応とはいえません。
子どもと大人が会話のやりとりをすることが、脳の発達によい影響を与えることが研究でわかっています。

してはいけない言葉かけ:集中しているのに後ろから大声をかける、自分がしてほしいことに注意を向けさせる言葉かけはしません。
どんどんするべき言葉かけ:三項関係で、子どもの興味対象を真ん中に対話するのが「応答的な保育」です。

 

4.発達に合わせた言葉のかかわり

大人であれば、話をしながら作業をするなど、ふたつのことを同時にすることができます。

しかし、0~2歳児の子どもはまだ、何かをしながら人の話を聞くことはできません。
そのような子どもの発達特性を知っていれば、「集中しているときには声をかけない」ことが理にかなっていると気づくはずです。

0~2歳の時期には、体を動かすこと、手を使うこと、人やものとかかわることによって脳を発達させます。

そのために大切にしてほしいのが、「直接、ものに触れて、その体験に対して保育者から言葉を添える」こと。

知識だけを取り出して、教え込むような学びは0~2歳には向きません。

 

また子どもが想像して遊んでいるときに、色や形、数などの概念ばかりを教え込むと、子どもの遊びの世界は壊されてしまいます。
食事や着脱などの生活の場面では、ものの名前や数などの言葉を正確に使い、遊びの場面では、想像の世界に合わせて言葉を使ってみてはどうでしょうか。

してはいけない言葉かけ:丸いものに「丸!」と反応する子は、一見、理解力があるように見えますが…。

 

どんどんするべき言葉かけ:丸いものからいろいろなものを想像したり、五感や身体の感覚とつながる「ふわふわ」などの言葉をたくさん使います。

 

子どもの脳を傷つけるネガティブな言葉のかかわりNG集

言葉をかける大切さを解説しました。 反対に、命令する、どなる、叱りつけるなどの言葉は、子どもの脳の発達を妨げることがわかっています。

相手が大人なら言わないのに、幼い子どもだとつい言ってしまう言葉はありませんか?

1.脅し

子どもを動かすために、「鬼が出るよ」とか「どうなっても知らないよ」などと脅すようなことをいう。

2.感情の吐き出し

感情をコントロールしようとせず、自分の怒りやイラつきをそのまま子どもにぶつける。

3.強要

やりたくないことを無理にやらせようとする。たとえば、声をかけずにいきなり抱き上げたり、「オムツ替えようね?」と声かけをしないでオムツを替えたりするのも、強要といえます。

4.行動・人格否定

ほとんど物的な環境構成をすることもせず、子どもを叱ってばかりいる。

5.否定的な決めつけ

「いっつも~だよね」「どうせ~だよね」とネガティブに決めつける。

6.あきれて見下す・からかう

子どもの発達段階を考えず、できないことをあきれたり、からかったり……。

7.執ように長い説教

0~2歳児は、そもそも長く話しても最後の部分しか記憶として残らない。長い説教は貴重な遊び時間を奪ってしまう。

8.乱暴な言葉づかい

ガサツな物言いはとげとげしく、心をすさませる。実際の「乱暴」は、完全に人権侵害です。

この1−8はお子さまを育てる上では必ずやってはなりません。

障害をお持ちのお子さまであれば、2時障害に

障害がなくても、本当に脳にダメージが残り

発達に影響します。

 

親としてはもちろん、全ての教育者は知っておくべき内容でしょう。

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