視機能向上方法

周辺視目視検査法は、人間が元々持っている視覚機能のうち、

「周辺視」、

「瞬間視」、

「衝動性眼球運動」を有効に働かせるように見直した検査方法です。

ポイントはこの3つの機能を組み合わせて検査を行うことです。従来法との比較をイメー ジ図で示した後、それぞれについて説明します。

 

1.中心視と周辺視について 人間の視覚機能(情報処理機能)の中には中心視、周辺視と呼ばれるものがあります。

■中心視力は、「見ている先に焦点を合わせて見る見方」です。 検査の現場でよく指導される「不良探し」「もっとよく見ろ」式の検査は、見ている先に焦点を 合わせる「中心視」を使う方法です。

この方法は、視覚機能で言えば高等で負荷の高いものになり 直ぐに疲労してしまいます。(30分から1時間くらいで疲労がたまり抽出力は低下しはじめると いわれています。)

脳は疲労すると自動的に外界と回路を切断して、オーバーヒートから身を守るためブロッキン グ現象と呼ばれる症状を起こし、これが見逃しの原因となります。

ブロッキング現象が厄介なの は、検査作業の動作は外見からは変わらなく見えることです。

検査作業は継続していても、実はこ の間はほとんど検査になっていません。

 

■周辺視とは、「視野全体を見る見方」です。 小さくて見えにくいものを探すとき、例えば飛んでいる蚊を探すとき、蚊に焦点を合わせなが ら顔を回しながら見つけようとするでしょうか。

一旦距離を取るために身をそらせて顔をあまり 動かさずに全体を見ます。しかも焦点を合わせずに目の端の方で探します。そして発見後、焦点を 当てて確かめます。

「焦点を合わせずに視野全体で探す」のが「周辺視」による方法です。

これは誰に教えてもらった訳でもないのに誰でも行っている方法です。

すなわち、元々人間に 備わった機能です。もし、危険が迫ったと感じたら、まず全体を把握してから一番怪しいものに焦 目の動き (眼球運動) 検査対象物 視点 視野 従来の目視検査法 周辺視目視検査法 「 不良探し 」 照合・想起 認知・判断

■視点を滑らせるように細かく移動 ・滑動性眼球運動・走査眼球運動

■視野が狭い 「じっと見て、探す」 ・中心視力・凝視 集中 短時間、高疲労 「 良品確認 」 違和感 異常検出

■視点を飛ばす ・衝動性眼球運動

■視野が広い 「ぱっと見て、感じる」 ・周辺視力・瞬間視 リラックス 低疲労 点を合わせることは本能として持っています。人間にとっては自然な方法と言えます。

 

この見方を検査へ適用すると、視点を移した先の視野全体を一度に見て、良品と異なるものが 現れたとき変だと感じ、その個所が許容範囲を越えているかを確認し、許容範囲を越えていれば 不良品とするという方法になります。

 

2.凝視と瞬間視 網膜は画像データを数十ミリ秒単位でパルスに変換しているので、一か所に焦点を合わせてじ っと見つめると何枚もの画像データができてしまいます

これを全て順番に処理しているのが大 脳の後ろ側にある視覚野です。

前の画像データと今送られてきた画像データは逐次比較され、 同じなら消去するという処理を繰り返しますが、データ量が多くなると処理しきれなくなります。

チラッと見るだけでもしっかりした画像データは視覚野に送られ、しっかり識別されます。

このように人間の目は感光フィルムではないので、露光時間が長ければ鮮明な画像データが得 られるということにはなりません。

 

3.目の運動機能(眼球運動)について 眼球の動かし方の中には、滑動性眼球運動、走査眼球運動、衝動性眼球運動と呼ばれるものがあ ります。

■滑動性眼球運動は「ゆっくり動いている目標物を追いかける動き」です。ゆっくり目で追う又 は頭を動かす見方です。

■走査眼球運動は「静止している目標をたどるように移動する動き」です。線やものの縁を細かく たどる見方です。

■衝動性眼球運動は、「視点がジャンプする動き」です。対象物の数箇所を写真に撮るように全体 を把握する見方です。カメレオンのような目の動きになります。

「よく見ろ」と言われると滑動性眼球運動および走査眼球運動を使った見方になりますが、これ は、細かいコントロールが必要になるため疲労を伴います。

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